建築家と見る宮城の建築 vol.1~「宮城県美術館」

コラム

こんにちは、ソライエの小野松です。

今回から、建築に携わる私たちが地元宮城の優れた建築物をクローズアップする企画をスタートすることになりました。

その中で建築物の魅力私たちの建築への想いをより深く伝えることができればと願っています。すでにご存知の方もいらっしゃると思いますが、一緒に訪問しているようなお気持ちで読んでいただければ幸いです。

今回は、仙台市青葉区川内にある「宮城県美術館」です。

移転か現地存続かで全国を巻き込んでの大論争となったことは記憶に新しいですよね。

昨年11月、県から現地存続の方針が示され、胸をほっとなでおろしたという方もいたのではないでしょうか。

宮城県美術館は1981(昭和56)年11月開館しました。伊達政宗公が築いた青葉城のふもとにあり、すぐそばを広瀬川が流れるまさに「杜の都」を象徴するようなロケーションにあります。

エントランス/水路に沿って白い角柱がリズミカルに並ぶ

エントランス/ヘンリー・ムーア「スピンドル・ピース」1963-74年が出迎えてくれる。

美術館の主役はあくまでも作品という考えから、作品が引き立つように、そして周囲の自然環境と調和するように設計されているそうです。

そのため館内だけでなく、敷地内の至る所でアート作品を見ることができます。

アプローチ/館内への期待感を高めてくれる拡張高い雰囲気のアプローチ。

回廊に囲まれた中庭/カフェや創作室などに面している。

このほかいくつもの庭や外部空間が設けられており、環境に溶け込むような建物になっています。かつてこの中庭ではワークショップやコンサートなど様々な催物が開かれていました。私も校外学習で訪れた時、この中庭に整列させられた記憶があります。

エントランスホール/大きな吹き抜けは、柔らかな間接照明の効果でゆったりと落ち着いた雰囲気。

北庭/美術館北側にある庭園で、本館~北庭~アリスの庭と回遊性のあるつくりになっている。

本館の設計者は、戦後の日本建築界を代表する建築家前川國男氏です。フランスの有名な建築家ル・コルビュジエに師事し、その後アントニン・レーモンドの事務所を経て独立した、日本の近代建築を語る上で最も重要な建築家です。そうした前川氏の作品である宮城県美術館は高い合理性が評価され、建設省(現国土交通省)の公共建築百選にも選ばれています。

1990年には前川國男設計事務所出身の大宇根弘司氏が設計を手掛けた佐藤忠良記念館が増築されました。その際に、本館との間に彫刻庭園「アリスの庭」が誕生したのです。

アリスの庭/今にもジャンプしそうなウサギがお出迎え 

周辺に東北大川内キャンパス仙台二高県立一高尚絅学院高校などが立ち並ぶ文教地区にあり、青葉山広瀬川の豊かな自然を感じる場所です。

自然環境と融合する美しく洗練された外観、館内ののびやかな空間は、さまざまな収蔵品とともに企画展が私たちを「」の世界へといざなうにふさわしい佇まいです。さらに、想像力をかきたててくれる「アリスの庭」も一体となり、美術鑑賞のみならず、何度でも訪れたくなるスポットです。

前川國男氏の作品は日本のモダニズム建築の遺産として、全国各地で改修して使い続けられています。

・紀伊國屋ビルディング

・東京海上日動ビルディング本館(旧東京海上ビルディング本館)

・国際文化会館

・東京文化会館

・神奈川県立音楽堂

・神奈川県立図書館

・京都会館(ロームシアター京都)

・岡山県庁舎

・弘前市民会館

機会があれば、ぜひ立ち寄ってみたいですね。

宮城県美術館も前川國男氏のそうした作品の一つであり、

ぜひ次代へと継承していきたい建築物です。

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